ITエンジニアが今やっているスキルアップの方法では収入は上がらない?収入を上げるためのスキルアップのコツとは
どんな業界でも同様ですが、常に学び続けることが重要です。
営業であればセールストーク等の営業術、工業系であれば、新しい仕事ができるように資格の勉強等と、各業界でもずっと停滞していることは不可能です。
そしてITエンジニアでも同じで、常に学び続け、スキルアップすることは必要不可欠です。しかし、単にスキルアップといっても「何となく」勉強をするというだけではただの知識として増えただけで、スキルアップができていないことも多々あります。
そこで今回はITエンジニアでスキルアップをする方法、そして収入を上げるためのスキルアップとは一体どういった方法なのかについてお話ししていきます。
ITエンジニアのスキルアップの方法とは
それでは早速、ITエンジニアがスキルアップをするために行う方法についていくつか例を出しながら解説していきます。
今後スキルアップをしていきたいと考えている方はこれらの方法を参考にしてみてはいかがでしょうか?
新しいプログラム言語を学ぶ
これは多くの人がITエンジニアのスキルアップと聞いてすぐに思い浮かぶ方法なのではないでしょうか?
ITエンジニアとして活動していると、プログラムコードは書かなくとも必ずソースコードを見ることはあります。しかしプログラム言語でも、HTMLとJava、C言語ではそもそもの概念やソースコードの構成も全く異なります。
ある仕組みを別のプログラム言語で代用することもできますが、HTMLのように唯一無二のプログラム言語も存在します。
どのような企業でもいいので、ITエンジニア企業の採用情報を見てみましょう!
使用するプログラム言語であったり、どのようなシステムを構築するのかの情報がしっかりと書いてあり、その言語が採用時に持っておかなければならないスキルになる可能性が十分にあります。
そこで今扱っている言語以外にもプログラムを記述できるようになれば、仕事の幅は大きく広がります。
似たようなプログラム言語同士だと学びやすい
一概に新しいプログラム言語を学ぶと言っても1つの言語を学ぶだけでもかなりの時間がかかります。
そういった時におすすめする方法として、似たような構成のプログラム言語を学ぶ方法です。例えばですが、HTMLとPHPです。
ほぼ全てのシステム、Webページで活用されているHTMLですが、PHPはHTMLの内部に簡単な構文を入れるだけでPHPとして動作します。
その後は作りたい仕組みに合わせてJavaScript等のプログラムを入力していくだけです。
私自身も今まで、PHPは見ていても意味が分からないと思っていたのですが、基本的な構築を理解するまでに数時間程度しかかかりませんでした。
このように、一度覚えた(勉強した)プログラム言語に派生するプログラム言語を学ぶきっかけにすることでスキルアップのハードルは格段に下がります。
利用頻度の高いプログラム言語を学ぶとより効率的
新しいプログラム言語を学ぼうとすると、十数種類以上のプログラム言語から選ぶことになりますが、その選択基準は、下記の2つを基準にして選ぶのがおすすめです。
- 普段の仕事での利用頻度が高いプログラム言語
- 社会的に人気(利用頻度)の高いプログラム言語
ちなみに社会的に人気のプログラム言語は、日経XTECHの「プログラミング言語利用実態調査2021」で調査されており、このようになっています。
社会的にはPythonやJavaScriptが人気ではありますが、それが自分自身の会社でよく使用されている言語なのかというと、かなり異なります。
例えば、スマートフォンアプリの開発をメインにしている企業はSwiftやJava、Web系の開発をメインとしている企業はHTML、PHPがよく利用するプログラム言語です。
実際に私が勤めていた企業では、C#やVB.NETを利用したり、またはCOBOLといった原始的なプログラム言語まで利用していました。そのため、社内で多用されるプログラム言語を学ぶことでキャリアアップも狙えるようになります。
人のコードを読む
新しいプログラム言語を学ぶことも重要ですが、プログラムはアルゴリズムができていなければどんなに汎用的なプログラム言語を覚えても全く意味がありません。
アルゴリズムとは、ある特定の問題を解く手順を、単純な計算や操作の組み合わせとして明確に定義したもの。数学の解法や計算手順なども含まれるが、ITの分野ではコンピュータにプログラムの形で与えて実行させることができるよう定式化された、処理手順の集合のことを指すことが多い。
IT用語辞典「アルゴリズム」より引用
どんなプログラムを記述する時にも、どのように処理されていくのか、表示させるにはどのような処理を経なければならないのかと動作する仕組みを考えなければいけません。
そこで勉強になるのが、他人のソースコードを読むことです。既に作成されているソースコードなので、一体どんなことをしたかったのか、そしてどのような良い点があって、どのような悪い点があるのかを考えながら読むだけでも十分に勉強になります。
自分の作成したコードも時間を置いて確認するのも効果的です。
記憶としても覚えているはずなので、どういった改善点があるのかも判断しやすくスキルアップのきっかけにもなりやすいです。
スキルが高い人ほどシンプルなコードを記述することが多い
これは私自身の経験上のお話しになりますが、スキルが高い人ほどシンプルで読みやすいコードを記述される傾向があります。
そして、アルゴリズムに関しても、冗長的ではなく、常に効率化を求めて簡潔にされている場合がほとんどです。
だからこそスキルアップのために他人のソースコードを参考にする場合には、できるだけスキルの高い人を参考にすると、よりスキルアップへの近道になるでしょう。
マネジメントの知識の勉強
次にマネジメント能力についてです。
若手の社員であればあまり関係がないかもしれませんが、10年後、20年後までには必ず必要になります。
ベテランになると、ただ上司の指示に従い、タスクを消化するという仕事のスタイルでは通用しません。むしろ収入を上げたいのであれば、キャリアアップを図り、1つのプロジェクトをリーダーとして進めていかなければいけないことがあります。
そこで必要になるのが、マネジメント能力です。マネジメント能力には主にこの4つの知識が必要になります。
- プロジェクトのタスク抽出
- それに対しての適切な人員配置
- 人員に対しての育成~評価
- 適切なリスク管理
では、このマネジメント能力はどのように学ぶのか、私なりにいくつか方法を挙げていきます。
セミナー等の勉強会に参加する
まずはセミナーといった学べる場所に参加することです。私が勤めていた企業では、セミナーを開催する企業と提携しており、プログラミング等の初心者向けの講習から社長向けの経営戦略についての講習まで多種多様なセミナーが行われていました。
休日に勉強をしようと思っていても、いざ休日になると結局だらけてしまい勉強ができなかったということもよくあるでしょう。
しかし、このような場所に参加することで、数時間でも半強制的に学ぶ環境を準備できます。そのため、普段からサボり気味の方でも効率良くスキルアップが目指せます。
同じ目的で来ているITエンジニアの方もいるので、人脈作りができたり、情報交換ができたりと、勉強だけではないメリットもあります。
また、スキルアップ中のモチベーションの維持にも繋がるので、一石二鳥以上の効果が期待できます。
普段の業務で上司の行動に注目する
そしてこれが私が考えるマネジメント能力を鍛える最も効率的な方法です。
普段の業務では自分自身のタスクを消化するために日々仕事を行っているかと思いますが、自分の業務以外の情報はいくつも流れてくるかと思います。
私自身も働いている中で、
- 上手く回っていない案件(炎上している案件)
- 各案件の売上
- 外部とどのようにコミュニケーションを取っているのか
- 人月等の見積もり
これらの情報は社内の人伝に流れてきたり、共有書類等で閲覧ができました。この情報をただ流し見をするだけではなく、
「どのような行動を取ったから結果として売上や進捗にこのような影響が出た」という評価をすることで、将来的に自分自身がマネジメントを行う際の基準になります。
いわば反面教師です。
このスキルアップ手法では、セミナーに出向いたりといった時間を取らずとも普段の意識を切り替えるだけで自ずとスキルアップ、経験値が貯まる手法です。
技術的にスキルアップをしても収入はさほど変化しない
ここまでスキルアップの方法についてお話ししてきましたが、これらのスキルアップを行うことで収入は上がるのかという点で考えると、残念ながら収入はさほど変化はしません。
例えば、収入が月手取りで20万円だった場合、新しいプログラム言語を覚えても自分の仕事(タスク)は全く変化しません。そして効率的なプログラムを書けて早く仕事が終わっても別のタスクを任されるだけで、仕事量が増えるだけです。
仕事ができない同期がいれば、その人と基本給は同じなのでもらえる金額は全く変わらない。むしろ、残業をしなくなるのでその分の金額が少なくなってしまいます。
こう見るとスキルアップをする意義が感じられませんが、もちろん、上司等の評価は上がります。
しかし一朝一夕で収入は上がらず、賞与査定で少し上乗せされるか年単位の昇給で微々たる額が上がるだけです。
スキルアップの結果をすぐに求めても還元はされない
ITエンジニアだけではなく、どんな業界でもスキルアップは必要不可欠ですが、いざスキルアップをしたところで目に見えて変化するのはほとんどありません。
そもそもスキルアップを行ったところで、他人から評価されるようになるまでには少なくとも数か月、長いと年単位でかかってしまいます。
目に見えて変化するのは給料ですが、それは他人、上司からの評価があるからこそです。これが変わらなければスキルアップをしたところで収入はスキルアップ前と一切変わらず、結局自己満足になってしまいます。
このように、いくらスキルアップをしても目に見えた結果として還元されないことがITエンジニア業界では非常に多いです。
時には交渉することも重要になることも
スキルアップをしても、それを使う案件にアサインされないという悩みを持っている方もいます。
そういった場合には遠慮せずに交渉をすることをおすすめします。これは私自身の経験ですが、声を出したもの勝ちです。
アサインされた案件でも問題が無ければいいのですが、問題がある状態で指示された通りに従順に従い続けてもストレスが貯まりますし、トラブルの原因にも繋がります。
交渉をするときには、簡単に以下の内容を盛り込みます。
- 〇〇の案件が良い
- その理由
- アサインされた場合には、こういった活躍ができる
会社員なので、会社の利益になることを考え、その上で自分の要望を伝えるとより効果的に交渉ができます。
交渉が望む通りに進めばいいですが、うまくいく可能性はかなり低いです。
企業は自分以上に考えていることもあるので、どこかで妥協することも重要になります。
妥協せずに交渉をし続けてしまうと、人間関係のもつれ等、スキルアップ以前に働きづらい環境を生み出す原因にも繋がりますので注意しましょう。
スキルアップと収入を結びつけるには?
スキルアップは長期的に見るとメリットしかなく、短期的にはあまり効果が無く、自己満足になってしまうこともあるということをお話ししました。
では、スキルアップと収入を短期的に結びつけるためにはどのようにしたらいいのかについてお話ししていきます。
資格を取得する
まず、スキルアップをして、すぐに収入に結び付ける方法が資格取得です。
多くのITエンジニアの会社には資格手当があり、1つの資格に対して数千円~1万円前後の追加手当が支給されます。
そしてその資格は国家資格等、スキルアップもですが、キャリアアップにもなるようなものばかりなのでスキルアップとして取り組み、資格が取得できれば収入もアップするため、非常に効率の良いスキルアップの手段になります。
上位の資格は転職でも役に立ちやすい
ITエンジニアの資格は「転職に有利になる」程度の優先度しかありませんが、国家資格の上位のITストラテジスト試験のような上位の試験では、見え方が全く異なります。
さらに、この資格を持ってないと就職できない企業もあります。
このような資格を持っていると経歴ももちろんですが、履歴書に書くだけでもかなりの影響力があり、転職では目的の企業に入りやすくなったりと収入以外でのメリットも存在します。
ITエンジニアの国家試験というと、〇〇情報技術者試験が思い浮かびますが、この国家試験はステップアップ方式になっているので、少しずつスキルアップしながら、最終的にキャリアアップを目指すという選択肢を取ることも視野入れてみてはいかがでしょうか?
国家試験はITエンジニアの基礎から応用、そして基礎的な仕組みから経営・マネジメントについてまで幅広く学べるため、何を学ぶか悩んでいる方もまずはこの資格を目指して勉強してみてもいいかもしれません。
転職をする
スキルアップと収入を結びつけるのであれば、転職を視野に入れるというのも手段の一つです。
私は一度転職を経験していますが、新卒で入社した企業では、VB.NET、COBOLがメインで、ITエンジニアでCOBOLを使って仕事をしている方はごく僅かという古いプログラム言語を利用していました。
今後COBOLを勉強しても、新しくシステムを開発するという案件は非常に少なく、改修や運用保守がメインになってしまいます。
そもそもの募集している企業も少なく、求人数としてもかなり少ないです。
そこで、HTML、CSS、JavaScriptを学び、Web系の会社に転職しましたが、開発から保守まで日々様々な案件が流れてきて、その分給料も以前の企業と比べて数万円程度高くなりました。
この前に、「新しいプログラム言語を学んでも収入はさほど変化しない」といいましたが、それはあくまでも同一企業に所属している場合のみです。
同一企業では、今ある案件にマッチしたプログラム言語のスキルが必要になり、それを覚えていても、仕事の幅が広がるだけです。
仕事の幅が広がると、タスクの消化量が増え、プロジェクトの中堅として活躍できるようにはなりますが、先ほどもお話ししたように評価されるだけなので、収入としては上がりにくいです。
しかし、転職となると、覚えているプログラム言語のスキルの分だけ働ける企業が増加するので、自由な働き方を求めてもよし、高い収入を求めるという選択肢のどちらも手に入れることも夢ではありません。
スキルアップして収入を上げるのであればフリーランスがおすすめ
今までお話しした内容は、結局のところ企業依存になってしまいます。
欲しいと思ってスキルアップをしたにもかかわらず、企業では求められておらず宝の持ち腐れになってしまうということも珍しくありません。
しかし、スキルアップが収入に直結し、常に習得したスキルが求められる世界があります。
それがフリーランスです。
フリーランスは習得したスキルをすぐに活かせる
フリーランスの場合、自分自身がやりたい案件を自由に選ぶことができるため、習得したスキルを実務で使いたいと思えば、その案件を探し、受注をするだけで翌日には使えるようになります。
だからこそ、スキルアップが無駄になりにくく、長期的に使えずにいつの間にか忘れてしまうこともありません。
さらに、実戦経験を積めるので習得したスキルが洗練されやすいのもメリットですが、逆に、万が一スキルが足りない場合には、その分を補わなければならないデメリットもあります。
デメリットといっても、最終的にはスキルアップに繋がるので、会社員と比べて、スキルアップのスピードは桁違いです。
会社員の場合は上司が育成方針を決め、それに則り、少しずつスキルアップ、キャリアアップをしていきますが、フリーランスの場合は、自分でやりたいと思ったらすぐに実践へ移せ、1つの案件が完了するたびに大きくスキルアップしていきます。
これだけ聞くとフリーランスはかなり魅力的ではありますが、もしミス等をしてしまった場合、尻拭いしてもらえる上司は存在しません。
もし体調を崩して仕事ができない状態になっても、誰かが代わりに取り組むということはないので、そのようなリスクヘッジを取っておくことが重要です!
案件を自由に選べるので自分が望むスキルアップを見込める
先ほどもお話ししたように、フリーランスは案件を自由に選べます。
会社員は上司が決めたレールを進まなければいけないので、いざ転職をしようと考えた時に全く使えないITエンジニアになってしまっているということもよくあります。
私自身がその状況に陥ってしまいました。COBOLをメインにやっていたので、その言語を扱っている企業はかなり少なく、ましてや給料は依然より少なくなってしまう転職先しかありませんでした。
一方のフリーランスでは、自分でレールを敷くことができるため、スキルアップの方針も自分自身で選択できます。Web系に進みたければHTML、PHPについて学んだり、プロジェクトリーダーとして指揮を執っていきたいのであれば見積もりや交渉術であったり、コミュニケーション能力を鍛えたり等、幅広い選択肢があります。
収入が格段に増加する
そしてフリーランスになると非常に大きいのは収入が格段に増加することです。
ITエンジニアの会社で「出向」や「派遣」という言葉を聞いたことが無いでしょうか?
これは相手企業に(一般的に)1人月分の人材を送るので、その分の費用を請求するという仕組みで成り立っています。
この価格は若手からベテラン、中小企業から大企業でバラバラではありますが、中小企業の相場的には、1人月40万円~60万円の場合が多いです。
会社員だと、その中から基本給分(約20万円前後)が支払われ、残りは会社の売上として中抜きされますが、フリーランスの場合は、基本的に直接契約になり、1人月分が全て売上として自分の口座に入金されます。
だからこそ、フリーランスとして活動をすると収入は倍近くに増加する可能性があります。
フリーランスでもらう収入は売上になるので、全て使ってはいけません。
年に一度確定申告で所得税や住民税等を納めなければいけないので、しっかりと計算しておくようにしましょう。
スキルアップで人生の選択肢が大幅に増える
ITエンジニアでスキルアップの方法、そしてスキルアップでの収入が増加しにくい傾向、スキルアップをすることで収入アップにつなげる方法と最後にフリーランスという選択肢についてお話ししてきましたがいかがだったでしょうか?
現在は収入が上がりにくいからスキルアップをする意義が見つかりづらいということもあり、全体的にエンジニアの技術の低下も見られています。
しかし、ITエンジニア業界では毎日のように技術が進歩しているので、今スキルアップをすることで将来的に優秀なITエンジニアとして活躍できるようになります。
収入が上がりにくいと感じている方は、今回私がお話ししたように、資格の取得であったり、転職、フリーランスを選択肢に入れることで見える世界が大幅に変わります。
ですが、それはスキルアップができていることが大前提となるため、自分への投資として、今ある貴重な時間をスキルアップに費やしてみてはいかがでしょうか?