【事例付】闇が深いSESの実態とは?良いSESの見分け方と向いているITエンジニアを徹底解説!
SESという言葉を検索するとヤバい、辛い、闇という関連ワードが出てきますね。
こうしたイメージからSESの業務はマイナスイメージを抱かれがちです。
では、どうしてSESはこうしたイメージがつくようになったのかをご存じの方は少ないかもしれません。
今回の記事ではSESがどうして闇といわれるようになったのかについて、事例なども交えながら詳しく解説していきます。
もちろん、SESの闇やデメリットだけではなくいいSESやSESで働くメリットもしっかりとあります。
SESの闇やデメリットにも触れながら、SESのメリットやSESに向いているエンジニア等についても合わせて解説します。
SESの闇とは?
SESとはSystem Engineering Serviceの略で、クライアントに対して労働力を提供する働き方のことを意味します。
日本語では客先常駐などと呼ばれることも多いです。
特にセキュリティーや機密情報を外部に持ち出せないなどの理由から、IT業界ではこのSESの働き方が1つのエンジニアとしてのメジャーな働き方になっています。
そんなメジャーな働き方であるSESが闇と呼ばれるのには下記のような理由があります。
プロジェクトごとに働く場所が変わる
SESの場合にはプロジェクトによって働く場所が変わります。
およそ半年から大きなプロジェクトの場合には数年単位に現場を移動し続ける働き方になります。
働くプロジェクトごとに常駐先が変わることによって、常駐先の方とは1からコミュニケーションを取り、信頼関係を勝ち取っていかなければなりません。
人見知りの方や環境の変化に敏感な方の場合には大きなストレスになってしまうこともあるでしょう。
またプロジェクトによっては常駐先の人間関係などで精神的なストレスを抱えてしまうこともあるため、SESは闇深いと呼ばれることが多いのです。
出世しないと一生現場仕事
SESの場合、管理職にならない限り一生現場でのエンジニア業務を続けることになります。
IT業界の場合は他の業界と比較すると技術革新が目まぐるしくおこる業界になります。
そのため、現場のエンジニアとして力を発揮するためには新しい技術や言語を取り入れていかなければならないため、年齢を重ねていったとしても常に学習を続けていかなければなりません。
エンジニアの多くは新しい技術を習得することに抵抗がない方が多いため、一生現場でエンジニアとして働きたいと考えていらっしゃる方もいるでしょう。
しかし、常駐先から考えてみるとどうでしょう。
フレッシュな若手エンジニアの方が何かと依頼しやすく、コミュニケーションも取りやすいと考える方が多いのではないでしょうか。
年配のベテランの方には何かと気を使ってしまって常駐先から仕事をあまり振られないということも考えられます。
給与が低い
SESは多重下請け構造になっているため、会社の立ち位置が低くなればなるほど中間マージンが引かれてしまうため、エンジニアに支払われる給与は低くなってしまいます。
特に5次請けや6次請けともなるとかなり給与は低くなります。
またSESは成果物ではなく、労働時間に対して報酬が支払われるため、作成したシステムが高品質であったとしても追加報酬などは発生しません。
そのためエンジニアとしては良いものを完成させたとしても、インセンティブなどが発生しないため仕事に対するモチベーションを保つことが難しいという理由もあります。
低賃金で長時間働かされてしまうというイメージからSESは闇と認識され始めたのかもしれません。
帰属意識が薄い
SESの場合にはどうしても常駐先で業務をおこなうことが多くなってしまうため、自分がどこに所属しているのかを認識しにくくなるというデメリットもあります。
そのため自分が所属している会社の上司や同僚などと顔を合わせる機会も少なく、あるとしても月に数回の定例会やミーティングだけになります。
会社によってはこうした定例会やミーティング自体をおこなわないこともありますので、そうした場合には自社と向き合う時間は本当に少なくなります。
結果として会社のビジョンとベクトルが合わないことになり、転職をするということも少なくありません。
SESは、会社に帰属意識が薄いため転職が当たり前といっても過言ではないでしょう。
【事例付】闇が深いSESの実態
ここでは実際に闇が深いSESの事例を5つご紹介していきます。
もしこれからSESに興味があるという方はぜひこうした事例もあることを忘れないようにしてください。
現場に1人で放置される
SESで一番よく聞く闇が深い事例の1つです。
これは常駐先から求められているスキルと出向したエンジニアのスキルがアンマッチな場合に、エンジニア自身が1人でどうにかしようとして放置されるという負のサイクルからおこることが多いです。
常駐先からはスキルのある人材のため、放置しておいても大丈夫と思われているため、エンジニア側からもあまり積極的にコミュニケーションを取ることができず、孤独を感じてしまいます。
また、最悪の場合には新人の時代に現場に1人で向かわされるといったこともあるようです。
何もできずにただ時間だけが過ぎていくのを待つのは闇以外の何でもありません。
現場のソフトやパソコンが古い
プロジェクトや常駐先によっては、開発に必要なソフトやパソコンが最新のものでないこともあります。
SESを通してスキルアップをしたいと考えているエンジニアの場合、ソフトやパソコンのバージョンは気になるところです。
それは、最新のソフトやパソコンでない場合、他のプロジェクトではバージョン違い等の理由で汎用的な知識として利用できない可能性があるからです。
開発環境は運によるものもありますので、古いソフトやパソコンで開発を依頼された場合でもプロジェクトが終わるまでは、最新環境に触れることすらできず、業務を遂行しなければなりません。
常駐先の人間関係に疲弊する
どんな職業でも人間関係によるトラブルは付き物です。
しかしSESの場合にはプロジェクトごとに常駐先を移動するため、移動するごとに人間関係のトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
もちろんこうしたトラブルに巻き込まれないように注意を払うことも大切ですが、いくら注意をしていたとしても意図せず巻き込まれてしまうことも少なくありません。
常駐先の環境によっては精神的なストレスを抱えることになるため、覚悟しなければなりません。
評価制度があいまい
SESでは評価制度があまりしっかりしていない会社も多いです。
評価を担当する上司や管理職がエンジニアそれぞれの現場に出向くことなく、客先からの評価がそのままエンジニアの評価となってしまうことも少なくありません。
こうした場合、どうすれば自分の評価が上がるのかを明確にエンジニア自身が把握することができず、モチベーションを維持することが難しくなります。
また不安になった時に相談できる上司や窓口が用意されていないこともあり、仕事や将来に対する不安を誰にも相談できずに仕事に取り組むしかないという状況も多いようです。
スキルアップが見込めない仕事しかやらされない
SESは成果物ではなく、労働時間に対して報酬が支払われるため、エンジニア業務とは関係のない書類整理などの雑務を振られることもあります。
エンジニアとしてスキルアップしたい、もっと業務に携わりたいと考えていても雑務ばかり振られていてはモチベーションを維持することは難しいでしょう。
もちろん雑務以外でも簡単なテストを繰り返しおこなうことになるなど、プロジェクトや常駐先によってはスキルアップに繋がるのかわからない仕事を淡々と繰り返すこともあります。
今回はSESの闇深い事例を5つご紹介しました。
もちろんこれ以外にもSESが闇深いと呼ばれる理由や事例はたくさんあります。
こうした事例が少なからずあることを理解したうえで、こうした闇深い常駐先や会社には関わらないように就職活動をしてみてください。
闇が深いと言われるSESのメリットとは
ここまではSESのデメリットをメインでご紹介してきました。
もちろん、SESで働くことによって得られるメリットもたくさんあります。
ここでは特にSESで働くメリットとして有名な物を5つご紹介していきます。
1.さまざまな業種・言語の経験ができる
SESの場合、プロジェクトごとにさまざまな業種を経験することが可能です。
そして使用するプログラミング言語もプロジェクトごとに変化するため、エンジニアとして幅広い経験を積むことができます。
SES会社によってはエンジニアごとのキャリアプランをベースにしてプロジェクトにアサインしてくれることもありますので、まずはさまざまな業種を経験して、自分に合う業種が見つかった際には会社に相談して効率よくスキルアップしていくことができるでしょう。
2.人脈を広げることができる
プロジェクトの規模によっては1つの会社からではなく、複数の会社から同じSESとしてエンジニアが派遣されることもあります。
他社のエンジニアと交流することによって、業界のトレンドや最新技術なども共有することができます。
もしかするとプロジェクトに参画しているエンジニアの中にはフリーランスエンジニアとして参画されている方もいらっしゃるかもしれません。
将来、フリーランスエンジニアとして活躍することを考えている方の場合には、現役のフリーランスエンジニアの方と交流することができるチャンスに恵まれています。
3.未経験から正社員になれる
SESの場合には未経験であっても正社員として雇用されることが多いです。
エンジニアの働き方として人気の自社開発が挙げられますが、これらは競争率も高いうえに求められるスキルも高いものが多いため、未経験の場合には正社員として雇用されるのは難しいです。
反対にSESの場合にはエンジニアとして求められるスキルが自社開発をおこなっている会社よりも低いため、未経験からエンジニアになりたい方に適している働き方であるといえます。
4.労働環境が変化する
プロジェクトによって常駐先が変化することをストレスに感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし反対に、環境が変わることによってリフレッシュすることができる、煩わしい人間関係から解放されるというメリットもあります。
一般企業の場合には異動や転勤等がない限り、職場が変わるということは稀です。
しかしSESの場合にはプロジェクトごとに環境が半年〜数年スパンで変化するため、飽きやすい方にはおすすめの働き方です。
5.残業が少ない
SESでは基本的にエンジニアを常駐させる前に会社と常駐先との間で契約が結ばれます。
その中に残業時間や休日出勤などの取り決めがされているため、突発的な残業や休日出勤は起こりにくくプライベートも充実させることができます。
良いSESの見分け方
SESのメリット、デメリットをそれぞれご紹介してきましたが、実際にはどのようにして良いSESを見つければいいのでしょうか?
結論から申し上げますと、良いSES(常駐先)を見つけるためには良いSES会社に就職するということになります。
ここでは良いSES会社の特徴を5つご紹介していきます。
SESで働くことに興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
1.評価制度がしっかりと周知されているか
SESは評価制度があいまいになりやすい傾向にあります。
そのため良いSES会社の場合には評価担当者の方がエンジニアが業務をしている現場に足を運ぶ、もしくはどのような評価基準で評価しているのかを社内に周知しているなど評価制度がしっかりしていることが多いです。
また評価だけではなく、業務で不安になった際に相談することができる窓口などが用意されているかどうかにも注目してみましょう。
相談窓口やメンターの先輩社員などがいる場合には悩みを相談して、不安を抱えることなく業務に集中することができる環境が整っていることが多いでしょう。
2.エンジニアを育成していく体制が整っているか
SESの場合にはエンジニアごとに常駐先が異なってしまい、専門的な技術やスキルを継続的に学んでいくことが難しいことも多いです。
そうした際にエンジニアに対して社内で説明会や勉強会を始めとした技術を学べる場所を準備してくれる企業は良い企業であることが多いです。
SESの場合、エンジニアが会社に対して帰属意識を持つことが難しいため、こうした勉強会などを通じて社内のコミュニケーションを図るという目的もあるでしょう。
なによりエンジニアを捨て駒のように扱わず、大切に育てていこうとするSES会社は良い会社であることが多いです。
3.福利厚生は充実しているか
SES会社のみならず、福利厚生が充実している会社は社員にとっても働きやすい会社であるでしょう。
有給休暇や各種手当など充実しているほど、社員が不安や不満を感じることは少なくなるため、集中して各々の業務に打ち込むことができます。
結果として福利厚生が充実している会社は業績が上がっていることも多いので福利厚生には注目してみてください。
4.中途採用をおこなっているか
現在はエンジニアの人材不足が話題になっています。
そこで新卒や未経験の方を採用するのはもちろんですが、中途採用をおこなっているのかどうかという点も注目してみてください。
他社を経験したエンジニアが中途社員として活躍している場合には、エンジニアからの評価が高いことが多く良い会社であることが多いです。
5.ベテランエンジニアは在籍・活躍しているか
SESの場合、帰属意識が薄いため数年勤務して転職をするという流れも少なくありません。
そこで40代〜のベテランエンジニアが活躍しているSES会社というのは年齢に関係なく働ける環境が整っているということの証明になるでしょう。
入社後はできるだけ長く働きたいと考えられている方はこうしたベテランエンジニアの存在にも注目してみてください。
SESに向いているITエンジニアとは
では実際にどのようなITエンジニアがSESに向いているのでしょうか?
ここではSESに向いているITエンジニアの特徴を3つご紹介します。
1.コミュニケーションスキルが高い
SESの場合、プロジェクトごとに常駐先が変更になるため、毎回仕事を一緒にする人が変更になります。
そのため、コミュニケーションスキルが高い方や人と話をするのが好きな方の場合、常駐先の人と仲良くなり信頼関係をうまく築くことができ、楽しく仕事をしていくことができるでしょう。
SESでは大手企業やメガベンチャーで業務をおこなうこともあります。
そうしたときにコミュニケーションを上手くとり、常駐先に気にいられることによってヘッドハンティングやキャリアプランの相談などプラスになる経験をたくさん積むことができます。
エンジニアといわれるとどうしてもスキル面が重視されがちですが、常駐先でのコミュニケーションを上手くとれるというのもエンジニアとしての必須スキルの1つです。
つまり、コミュニケーションスキルに自信があるエンジニアの方はSESに向いていると言えるでしょう。
2.新しいことに柔軟に対応できる
SESではさまざま業種、たくさんのプログラミング言語を使用して業務を進めていくことができます。
例えば同じ業種であっても会社ごとにルールが異なることや、業務の優先順位が異なることもあります。
そうしたときに環境の変化に応じて柔軟に立ち回ることがSESエンジニアには求められる場面が多いです。
1つの考えにこだわって変化を嫌うのではなく、何事にも柔軟に、臨機応変に対応することができる方はSESに向いているといえるでしょう。
3.スキルアップや知識を自発的に習得することができる
SESで客先に常駐してしまうと、業務にあまり関係のない最新の技術を習得することは難しくなります。
特に担当する案件によっては最新技術ばかりを使用するのではなく、古いソフトやパソコンを使用して開発をおこなうことも少なくありません。
こうしたときに自発的に物事を調べるなどしてスキルアップを日常的におこなう習慣がある方の場合には、エンジニアとしての成長も早く、さまざまなことを吸収しながら業務を進めていくことができるでしょう。
よく「SESは同じ作業を繰り返すことが多いためスキルアップをすることができない」という言葉を目にしますが、全てのSESがそういうわけではありません。
SESによっては重要な業務を担当することも、上流工程の業務を担当することもあります。
もちろん単調な仕事や下流工程の仕事を担当することもあります。
どちらにしろ大切なのは、いかなる業務であってもスキルアップをするチャンスは転がっているというところです。
エンジニア個人のやる気次第で業務内容や環境にとらわれることなく、いくらでもスキルアップすることはできます。
業務内で学ぶのもよし、退勤後に自主的に学習するもよし、さまざまな方法があります。
スキルアップはもちろん会社のためという意味もありますが、一番は自分自身のためです。
自発的にスキルアップをすることができる方はSESのITエンジニアとしてもうまく活躍していくことができるでしょう。
SESの闇まとめ
今回はSESがなぜ闇といわれるのかについて、SESの特徴、実際のSESの闇深い事例をご紹介してきました。
もちろん、SESにはデメリットばかりではなくしっかりとメリットもありますので、SESとして働くことのメリットや良いSESを見つけるためにはどうしたらいいのか、SESに向いているITエンジニアの特徴についてもご紹介しています。
どうしてもマイナスなイメージがついてしまっているSESですが、さまざまな業種に携われることや、人脈が広がることなどたくさんのメリットがあります。
SESのメリットを最大限に享受するためには良いSES会社に就職する必要があります。
SESは下請け構造のため会社の立ち位置が低いと給与が低い、常駐先の人間トラブルに巻き込まれるなど大変な面もありますがいいSES会社に就職することによってこうしたデメリットはなるべく削減することができるでしょう。
今回の記事をお読みいただいて、気になった方はぜひSESのエンジニアとして働くことも検討してみてください。