ITエンジニアは転職回数が多くても不利にはならない理由と平均転職回数を徹底解説!
ITエンジニアでも転職回数が多いと転職に不利になるのでは?
そう思う方もいると思いますが、私が以前勤めていた企業は約50名程度の中小企業ではありましたが、勤めていた数年間でその中の5名以上、約10%もの方が転職をされていました。
私自身も退職後、ハローワークといった職業安定所に行ったことがありますが、その中で初めて転職を考えている方もいれば、履歴書が埋まるほどの転職を行ってきた方もいらっしゃいました。
では本記事では、ITエンジニアとして再就職をする上で、転職回数はどのように影響があるのか、また、どのような転職理由であれば、転職回数が多くても受け入れられやすいのかについて解説していきます。
ITエンジニアの平均的な転職回数
それではITエンジニアの転職回数についてお話ししていきますが、まずは、転職自体が何回までが平均的なのかを把握して、自分自身の転職回数が常識の範囲内なのかを見てみましょう。
ITエンジニアの転職回数
ITエンジニアだけではなく、どの業界も当たり前ですが、年齢が上がるにつれ、平均転職回数は増加していきます。
実際に転職回数を調査されている「IT人材白書2017」を見てみると、下記のようなデータになっていました。
年代 | 0回 | 1回 | 2回 | 3回以上 |
---|---|---|---|---|
全体 | 51.7% | 21.6% | 14.1% | 12.6% |
20代 | 76.1% | 18.8% | 2.0% | 4.0% |
30代 | 45.4% | 23.9% | 17.9% | 12.8% |
40代 | 41.9% | 18.3% | 18.3% | 21.5% |
50代 | 44.4% | 23.5% | 17.3% | 14.8% |
このデータを見てみると、20代でも4人に1人は一度でも転職をしたことがあり、全体では、社会人の半分が1回以上の転職を経験しているということが分かります。
さらに3回以上の転職を経験している方は、30代以上になりますが、最大で20%以上という結果が出ています。
3回以上なので、3回転職している方と10回転職されている方が一緒に算出されていますが、上記のデータを見る限りでは3回以上の転職でも一般的なことが分かりますね。
ITエンジニアはなぜ転職回数が多いのか?
私も最初にお話ししたように以前勤めていたIT系企業でも数年で10%近くも転職をされていましたが、なぜここまでIT業界では転職回数が多いのかというと、ITエンジニアだからこその理由があります。
1つの企業で複数のスキルはあまり必要とされないため
ITエンジニアと一概に言っても、会社によってプログラミング言語も違えば、開発工程も異なります。
例えばシステムエンジニア(SE)の業界では、上流工程のみで資料作成等だけを行い、コーディングなどの下流工程は外注するような企業も存在します。
現在私はフリーランスとして、SEとしての仕事であったり、Webデザインやコーディングの仕事をしていますが、私が以前勤めていた企業では、上流工程の仕事はわずかで、コーディングなどの技術しか必要ありませんでした。
そのため、デザインや別のプログラム言語などのスキルを磨きたいとなった場合には、自ずと転職という選択肢しかありません。
さらにスキルを多く持っている人材だと年齢を重ねても重宝される人材になり、この後にお話しする収入が上がりやすくなる傾向にあります。
転職して収入をアップさせるため
そして転職する目的として最も多いのは、この待遇(収入)を向上させるためではないでしょうか?
IT業界だけでなく、一次請け、二次請け、三次請けといった言葉を聞くことがありますね。
私自身もSEとして働いてた時には、一次請けとして仕事をしていましたが、その後、同じ案件でも二次請けに下がったことがあります。
さらにIT業界では、この構造で収入や労働条件が著しく変化します。
先ほどお話しした、一次請けから二次請けに下がった時にどのように変化したのかというと、まずは労働時間が1.5倍に跳ね上がりました。
そして収入については年功序列なので、昇給は微々たるものでしたが、特に変化したのはボーナスです。
一次請けの時の査定は2.5~3ヶ月分という査定でしたが、二次請けになると、マネジメントが悪かったこともあり、売上が急激に落ち込み、1~1.5ヶ月という査定に変化しました。
月収が約20万円前後だとしても年収としては80万円~約100万円もの差がついてしまいます。
だからこそ、年収が高くなりやすい一次請けの企業に転職するということもあります。
転職で収入が上がるのはたったの30%?
収入をアップさせるために転職したいという方も多いですが、現実はかなり厳しいことを知っておきましょう。
そもそも転職で収入は絶対に上がるのかということを調査してみると、転職をして収入が上がるのはたったの30%という結果が出ているようです。
転職におけるお金事情については下記の記事でお話ししているので是非ご覧ください。
自分の待遇を良くするため
最後に待遇改善という目的で転職する方も最近では多いのではないでしょうか?
ITエンジニアは業態にもよりますが、比較的残業が多い業種です。
私の場合は月の残業時間が20時間程度でしたが、フレックスタイム制だったので、出勤時間1時間遅らせて相殺していたということもあり、就業時間以降の残業は月に40時間程度でした。
フレックスタイム制は、労働者が⽇々の始業・終業時刻、労働 時間を自ら決めることによって、⽣活と業務との調和を図りなが ら効率的に働くことができる制度です。
エンジニア業界では企業、業種によっては、ほぼ残業がないということもあり得ます。
同じような仕事をしている企業でも仕事のやり方次第で残業が発生しないということもよくありますので、同じ企業内でも起こりえます。
他にも他業種では、ネットワークエンジニアを例に出しますが、仕事の仕方がITエンジニアの中でも特殊で、運用・保守の場合だと3交代制で24時間監視体制を整えている企業があります。
そういった場合には3交代制になっており、残業はほぼ発生しません。
そのため、今の仕事環境が体力的・精神的に辛い場合にはこの理由で転職することもあります。
ITエンジニア業界では転職回数はさほど重要視されない
ではここからは、転職回数によってITエンジニア業界では再就職にどのような影響があるのかについて解説します。
結論から言うと、この見出し通り、ITエンジニア業界で転職回数はさほど重要視されません。
中小企業で転職回数だけをみて面接もせずに不採用にする企業は私の所見ですがロクな会社ではありません。
ですので、そのような企業は選択肢から外しておきましょう。
転職回数ではなく、離職するまでの期間と転職理由が非常に重要
転職活動で人事担当から重要視されるのは、
- なぜ前会社を離職したのか
- なぜこの期間で前会社を離職したのか
この2つです。
例えば、就職して数年が経ち、業績の悪化で会社が倒産してしまった場合、それは転職回数が1回カウントされます。リストラについても同様です。
離職するまでの期間も、その間で何を学んでどのような仕事をしたのかという第三者から見た基準になります。
だからこそ転職では、離職するまでの期間と転職理由が非常に重要になります。
嘘をつくことは絶対にNG
最初にお話ししてきましたが、社会人の半数が転職をしているということは、円満退職をした方もいれば、
- 前の職場が何となく嫌だから退職した
- 嫌いな上司が嫌だったから退職した
- 喧嘩別れのような退職の仕方をした
このように転職活動での前職の退職理由としては、あまり言えないような理由の方もかなりの人数がいるかもしれません。
かく言う私自身も、決して円満退職ではなく、当時していた仕事が何となく嫌だったから退職しています。
「スキルアップのために別の業種を学びたい」や、「キャリアアップしたい」といった目標は一切ありませんでした。
一時的に転職活動を経て、最終的にフリーランスになる決断をしていますが、その間にいくつかの企業と面接を行ってきた経験上、
絶対に嘘はついてはいけません!
その中の1社ですが、「キャリアアップ・スキルアップ」等、ポジティブな言葉を出しておけばいいのではないかと思い面接に臨みましたが、その理由を話し、深掘りされることで、必ずボロが出てしまいます。
客観的に見ればそもそも話し方さえも違和感があるような話し方になっていたかもしれません。
嘘は絶対にバレてしまいます。
もしバレなかったとしても、内定してしまうと、仕事にも影響が出てきます。
そのため、転職理由は正直に答えるようにしましょう。
ITエンジニアの転職回数は転職に有利にも不利にもできる
現在ITエンジニアとして転職活動をしている方で、
「転職回数が多くて転職活動で不利を背負っている」
と思っている方へどうしても伝えたいことがあります。
その転職回数は決して不利なものではありません。
何を言っているんだと思われてしまいそうですが、この転職回数は、実は転職活動に有利に働くこともあります。
様々な企業に入り、そこで行われてきた事業や仕事の経験はあなたのノウハウとして蓄積されていきます。
転職回数=ノウハウが蓄積された回数
全ての企業が同じノウハウで仕事を進めているということは絶対にありえません。
それぞれの企業が試行錯誤して、ようやく見つけた知識やスキルを利用して、仕事をしています。
ということは転職した回数分、様々な会社の成功体験や失敗体験を経験してきているはずです。
だからこそその回数分、様々な企業を渡り歩いている実績になり、各社の事業の展開ノウハウであったり、仕事の進め方等、その会社以上の効率で仕事ができるような知識を持っているかもしれません。
その回数が様々な企業を渡り歩いている実績となり、各社の事業の展開ノウハウであったり、仕事の進め方等、その会社以上の効率で仕事ができるような知識を持っているかもしれません。
だからこそ転職回数が多い理由とそれが原因となって転職しづらくなってしまうということはなく、むしろ転職した分だけノウハウを持っていることをアピールすることで、自分を魅力的に見せることも可能です。
転職活動で重要なのは、いかに自分の強みを面接官に魅せることができるかという点につきます。
転職回数を強みにするために、自分がどのようなノウハウを持っているのか振り返り、転職したい企業に合わせてアピールしていけば転職が不利になることはないでしょう。
転職回数より、相手にどのように伝えるのかが重要
結局のところ転職で最も重要なことは面接であり、これまでにお話したことから、たとえ転職回数が多かったとしても、転職する理由がきちんとしておけば不利にならないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
また、転職理由を話す際には絶対に嘘をついてはいけないこともお話しましたよね。
嘘をついてはいけないということ以外にも、もう一つ注意しておくべきことがあります。
ネガティブな意見を言わなければ転職回数はあまり不利にならない
転職を決意した理由が、たとえネガティブなことであったとしても、最後にはポジティブな意見として話すことが面接をする上で重要です。
例えば、あなたが面接官だったとしましょう。その状態で、転職を希望している相手がただひたすらにネガティブな意見を吐き続けているとすると、どう思うでしょうか。
その環境を改善しようともせず、ただ文句だけを言い、何か気に触ることがあればすぐにやめてしまいそうな人という印象を持ってしまいませんか?
自分だったらそんな人を採用したくはないですよね。
だからこそネガティブな意見ではなく、ポジティブな意見を言うことが大切なのです。
最初はネガティブな理由であったとしても、その問題に対してどんな行動を起こしたのか、その結果として改善するために退職したといった理由なら納得できますよね。
どれだけ転職回数を重ねていたとしても、きちんとした理由があり、それをポジティブに話すことができれば決して不利になることはないので、転職しすぎているからといったことは気にする必要はないでしょう。
転職の面接でどんなことを話せばポジティブな意見として捉えられるのか
ネガティブな意見を出さないと言われても、これから出そうとしている転職理由はネガティブなのかどうか分からないという方もいるかと思います。
そこで転職の面接でどんな要素を入れたらいいのかを挙げてみます。
- 未来のビジョンを見据えていること
- 自分がやりたいことを明確に提示できていること
- 今まで感じていた不満を解消できるような正当な理由があること
このような要素を必ず入れるようにしましょう。
そして最も重要なのは、論理的な思考です。
これは私も同様なのですが、ITエンジニアの業界では一癖二癖ある方が多かったりします。
しかし、ほとんどの人に共通している点としては、論理的な思考で会話ができていることです。
相手の感情に訴えるということも他業種によってはアリですが、ITエンジニアは論理的に話せるように練習しておきましょう。
ITエンジニアであれば転職ではなくフリーランスになる選択肢も
転職回数がどうしても気になるなら思い切ってフリーランスになることも一つの手段です。
フリーランスといえば、実力が伴っていないとできないと考えたことはありませんか?
高収入を目指すのであれば、たしかに技術が伴っていないと難しいものはあります。
しかし、フリーランス自体はすぐになることができるので、転職したいけど活動はしたくない、でも会社はもう辞めたいなど、気になる部分があるならフリーランスの選択肢も持っておきましょう。
では、どのようにすればフリーランスになることができるのか、転職とどのような違いがあるのか解説していきます。
フリーランスは転職回数ではなく、実績が重要
転職は回数を気にしてしまうかもしれませんが、フリーランスとして最も重要なのは実績です。
企業の場合、これまでに行ってきた実績があり、そもそも営業が仕事の交渉なども行うため、自分に必要なものは技術のみです。
しかし、フリーランスの場合はどうでしょうか。
フリーランスは個人事業主であり、その実力も千差万別です。例えば仕事を依頼して、微妙なクオリティのものが出てきたりすると、報酬を払いたくなくなりますよね。
ではどのようにフリーランスの実力を判断するのか。
そこで重要になるのが実績です。
実績を見れば、そのフリーランスがこれまでにどのようなモノを作ってきたのか、技術があるのか等の必要な情報を知ることができます。
そのため、フリーランスとして活動するためには何よりも実績を作ることが必要であり、フリーランスの始めたての頃は仕事を得ることも難しいです。
ただし、結局は全て自分次第であり、最初はきついかもしれませんが少しずつ実績を重ねていくことで収入は上がっていきます。
結果としてサラリーマンの年収を超えることも可能ですので、少しずつでも進めていきましょう。
フリーランスの方がキャリアアップに繋がるケースも
会社員の場合、どんな仕事をしたいのかある程度の希望は出せますが、必ずしもその仕事ができるということはありません。
会社に所属しているということは、その会社の歯車の一つであり、自分の意見がすべて通るということはなく、将来はこうなりたいという考えを持っていても順調に進めるわけではありません。
ではどうするのか。
その場合の選択肢の一つがフリーランスです。
転職より良い企業ともお付き合いできるかもしれない
転職することでそれまでの環境を変えることができ、収入も上げることができるかもしれません。
しかし、企業に所属している限り、自分がお付き合いをする企業を選ぶことはできず、全てその会社任せとなります。
環境が変わると言っても、結局は企業に所属しているので全て自分で決めることはできません。
ですがフリーランスの場合、自分自身が全ての責任を負う代わりに、自分という個人を全面に押し出して企業と関わることになります。
そこでは自分の実績だけを見られるので、転職では全く見向きもされなかった企業も、その実績によって仕事や依頼を発注される可能性があるため、会社員では中々お付き合いできないような優良企業とも関わることもできるのです。
ITエンジニアの転職回数が多くなることは珍しくはなくなったが、自分のキャリアプランをイメージしておかなければいけない
これまでITエンジニアの転職回数でどんなことに影響があるのか、転職の回数ではなく、転職の理由の方が重要であること、そしてフリーランスという選択肢についてここまでお話ししてきました。
私は退職後、転職をせずにフリーランスという道を選びましたが、フリーランスになりたての頃は転職をしておけばよかったと後悔したこともあります。
それは転職の道を選んでも、フリーランスになっておけばよかったと後悔していたと思います。
自分の道と違う道を進んでいる人が羨ましいと思ってしまう心理ですね。
これはどんな年代でも感じることでしょう。
しかし、転職だろうがフリーランスだろうが、どんな道を選んでも悩みや後悔は発生します。
そこで自分の進路を左右させないために自分自身のキャリアプランを明確にイメージしておくことが重要です。
何となく就職して、何となく結婚して、何となく年齢を重ねるという思考の方が圧倒的に多いです。
今の企業から転職して別の企業にチャレンジしたいということを考えているのであれば、その前に将来的に自分自身はどうなっていたいのかを決めることから始めましょう。
そうすると自分の選択に後悔することは圧倒的に減ります!