SESはなぜ底辺といわれる?底辺SES企業の特徴と脱出方法とは
エンジニアにはさまざまな働き方があります。
多くの方はエンジニアと聞くとお洒落なオフィスで楽しく仕事をしている風景をイメージされるかもしれません。しかしすべてのエンジニアがそういった環境で働けているわけではないのも事実です。
特にSESの場合には底辺や地獄と呼ばれることもあり、辛い環境で働いているエンジニアがいるのも事実です。
今回の記事ではなぜSESが底辺といわれるのか、底辺SES企業の特徴、底辺SES企業から脱出する方法についてわかりやすく解説していきます。
SESが底辺といわれる理由とは
SESが底辺といわれるのにはその業界構造や契約方法に特徴があるからです。
今回はそんなSESならではの特徴を5つご紹介していきます。
1.開発環境が常駐先に依存してしまう
自社開発をおこなっている企業に勤めているエンジニアの場合には、自分のスキルと開発要件にあった開発環境を会社が準備してくれることがほとんどです。
しかしながらSESの場合には常駐先に開発環境が用意されることが多く、使用するパソコンやソフトウェアが最新でないこともしばしばあります。
IT業界では他の業界と比較すると、技術進歩が早く毎日のように新しい技術が登場しています。
そうした新しい技術というのはパソコンのスペックが低い場合や、ソフトウェアが最新でない場合には使用できないことも多いです。
SESの場合にはさまざまな業種に携わることができ、業種におうじたプログラミング言語を利用することができるのでスキルアップを目的にSESエンジニアとして活躍している人も多くいらっしゃいます。
しかしながら開発環境の問題から最新の技術を活用することができず、他のエンジニアと比較して技術の習得が遅れてしまうリスクもあります。
さまざまな業種に携われ、交友関係も広げることができるというメリットがある反面、エンジニアの命ともいえる開発環境を常駐先に決められてしまうため、底辺・辛いといったイメージを持たれることもあります。
2.常駐先の人間関係トラブルに巻き込まれてしまうリスクがある
SESの場合にはプロジェクトごとに常駐先が変更になるという特徴があります。
そのため、プロジェクトによっては大企業や勢いのあるベンチャー企業で勤務することができるチャンスに恵まれているのもSESの特徴です。
しかしながらそうした恵まれた環境ばかりではなく、最悪の場合には常駐先の人間関係トラブルに巻き込まれてしまうリスクも抱えています。
人間関係のトラブルに巻き込まれてしまうと、プロジェクトが変更になるまではそのトラブルから逃れることは難しく、精神的ストレスを感じながら契約期間を過ごしていくことになります。
SESエンジニアの場合には常駐先によって当たり外れが発生してしまいがちで、常駐先の人間関係トラブルが原因で精神的な病気になってしまう方が一定数いるのも事実です。
またエンジニア自身が常駐先を選ぶことができないというのも辛いところです。
自分で常駐先を選ぶことができず、常駐先に当たり外れがあるということがSESは底辺と呼ばれてしまう理由の1つになっています。
3.残業や休日出勤が当たり前の常駐先もある
基本的にSESの場合には常駐先にエンジニアを出向させる前に、労働条件について契約を締結しておくことが一般的です。
締結される契約の中には残業や休日出勤に関して細かく決められていることが多く、基本的には突発的な残業や休日出勤が発生しないようになっています。
しかしSESの場合にはエンジニアが働いた時間に対して報酬を得ることができる契約であるため、参加したシステムやアプリケーションなどの成果物に対してクオリティー等を保証しなくていいというのもSES企業にとっては嬉しいポイントになっています。
結果としてSES企業は、常駐先でエンジニアを働かせれば働かせるほど利益を得ることができるので、残業や休日出勤に関してあいまいにしたまま契約を締結している企業があるのも事実です。
SESの場合にはエンジニアに対して業務命令を出すことができるのは常駐先ではなく、エンジニアが所属している企業になりますが、この業務命令権がどこに所属しているのかを理解していないエンジニアが多く、常駐先からの無理難題にも応えてしまうという現状があります。
こうした契約に関して闇深いところがあるのもSESが底辺と呼ばれてしまう原因の1つになってしまっています。
4.SES企業の立ち位置によって給与に差が出る
IT業界は自社開発をおこなっている企業を除くと、多重下請け構造になっている業界になります。
そのため、大きなプロジェクトに複数のSES企業が参画しても、SES企業の立ち位置によってたとえ同じ業務であってもエンジニアの給与に差が出てしまうのも事実です。
2次請け、3次請けの場合にはそこまでの差がありませんが、5次請け以降の場合には2次請けの半額以下の報酬であることもあるようです。
エンジニアの技術や担当する業務量に応じて給与が変動するのであれば、納得することもできますが、SES企業の立ち位置によって給与に差が出てしまうというのは闇深いです。
エンジニアごとに給与が違うため、常駐先としては単価の安いエンジニアには長時間働かせ、単価の高いエンジニアには定時で帰らせるということも発生しているので驚きです。
こうした同じ業務をしているのにエンジニアの給与に差が出てしまうため、SESは底辺と呼ばれてしまうのでしょう。
5.管理職にならない限りずっと常駐先で勤務することになる
SESエンジニアは基本的に自社で業務にあたることは少なく、常駐先でプロジェクトに参画して業務をすることになります。
そのため、管理職に出世しない限り、定年までずっと常駐先でエンジニアとして働くことになります。
常駐先はプロジェクトごとに変更になるため、若い時には身体的な負担にならなかったとしても年齢を重ねていくと常駐先が定期的に変更されてしまうということはかなりの負担になってしまいます。
また常駐先でもベテランエンジニアの場合には気を遣われることも多く、若い時ほど仕事をたくさん任せてもらえないこともあります。
身体的にも精神的にも年齢を重ねていくとストレスを感じながら仕事をすることになってしまい、長く働き続けることが難しいという点も底辺と呼ばれてしまう理由の1つであるでしょう。
底辺と言われるSES企業の特徴とは
もちろんすべてのSES企業がブラックや底辺というわけではありませんが、少なからず底辺とよばれるSES企業が存在しているのも事実です。
今回はそんな底辺といわれるSES企業の特徴を5つご紹介していきます。
1.評価制度があいまい
SESの場合には、エンジニアは基本的には常駐先で勤務することになります。
そのため管理職の方がエンジニアごとの常駐先を定期的に訪問してエンジニアの働きぶりをヒアリング、そしてエンジニア自身とも定期的な面談を通して社内評価をおこなっていくことが一般的です。
しかしながら底辺SES企業の場合にはこうした評価制度が整えられていないことが多く、常駐先からの評価がそのままエンジニアの評価になってしまうこともあります。
常駐先からの評価をそのまま流用してしまうと、公平な評価をすることが難しくなります。
簡単な仕事をしたエンジニアと難しい仕事をしたエンジニアに差が出ることはもちろん、常駐先の社員の方が辛口評価であればあるほど、社内での評価も低いものになってしまいます。
正当な評価をもらえない場合には仕事を続けていくモチベーションもなくなってしまいますので、優秀なエンジニアほど転職活動などを通して底辺SES企業からは離れていきます。
評価制度があいまいであればあるほど優秀なエンジニアが集まりにくくなり、底辺SES企業になってしまうことが多いでしょう。
2.社員の平均年齢が若い
会社の規模や設立年度にもよりますが、一般的に平均年齢が若い企業の場合には長く働くことができずにエンジニアが定期的に入れ替わっていることが多いと考えられます。
SESの場合には管理職にならない限り、常駐先でエンジニアとして勤務し続けることになります。
そのため、管理職になれなかったベテランエンジニアが退職・転職をするため、社内の平均年齢は若くなりがちです。
ベテランエンジニアが流出してしまうということは、社内に技術や知識が蓄えられないことも多く、社内の技術レベルも平凡であることが多いです。
平均年齢や平均勤続年数が低い場合には長く働けない環境であることが多いため、底辺SES企業である可能性は高いでしょう。
3.社内に相談できる体制が整っていない
SES企業の多くは自社にエンジニアが集まることが少ないため、エンジニア同士のコミュニケーションが薄くなりがちです。
そのため、不安なことや困ったことを相談することができる窓口や上司からのフォローなどを率先しておこなっている企業が大半です。
しかしながら底辺SES企業の場合にはこうしたエンジニアに対するケアを怠っていることが多いです。
相談することができないため、エンジニアにとっては自己解決能力がつくようになるなどといってわざと相談窓口やメンターを設置していないような企業もあるため注意が必要です。
社内に相談できる体制が整っていない場合には、会社やエンジニアにとって不都合が発生した場合であってもその場その場で対応する体制になってしまっているため、同じミスやトラブルが頻繁に発生してしまうリスクもあります。
そうしたミスやトラブル対応に手を取られてしまい、エンジニア業務に支障が出てしまうことも考えられるでしょう。
4.社内教育にコストをかけていない
社内教育には時間やお金などさまざまなコストがかかります。
そのためそうした社内教育にかかるコストを抑えようとして、十分な社内教育制度を整えていない企業の場合には底辺SES企業であるといっても過言ではないでしょう。
社内教育をおこなっていない企業の場合には、新人が育たないのはもちろんのこと、社内に経験やスキルが溜まりにくいというデメリットもあります。
特にSESの場合にはエンジニアが社内に集まることも少なく、エンジニア同士のコミュニケーションが希薄になりがちです。
優良なSES企業の場合には社内教育を社内でのコミュニケーションの一貫としておこなっていることもあります。
社内教育に十分なコストをかけることがない企業の場合には、エンジニアを大切に思う気持ちが少ないため、底辺SES企業である可能性が高くなるでしょう。
5.SES事業のみをおこなっている
SES事業の場合には、エンジニアを常駐先で働かせれば働かせるほど利益を得ることができるビジネスモデルになっています。
そしてエンジニアが働いた時間に対して報酬を得ることができるため、成果物や納期などに対して責任を負うリスクもありません。
そのため、SES事業は企業にとってリスクを最小限にして利益を上げることができる最高のビジネスモデルであるといっても過言ではありません。
また今後はIT人材がどんどんと不足していくとニュースなどで報道されているように、SESの需要が今後数年はなくなることはないでしょう。
結果としてSES事業のみに注力して利益を上げる方が企業としてはビジネスで失敗するリスクが限りなく0に近いです。
しかしながらSES事業のみをおこなっている場合には、社内に十分な資金力や技術力が溜まっていないという可能性もあります。
それはSESエンジニアが求められるスキルセットは自社開発で求められるスキルセットよりも格段に低いことが一般的であるため、スキルに溢れた人材を確保する必要がないからです。
また、エンジニアを働かせるだけで利益を上げることができるため、定期的に常駐先と契約を結ぶことさえできれば資金の流れも切れることはありません。
しかしながら自社開発をおこなっている企業の場合には、製品をPRするためのマーケティング費用や開発費用などさまざまな費用が必要になります。
こうした費用を準備することができず、新しい事業に手を出せていないケースもありますので、SES事業のみをおこなっている企業は底辺SES企業である可能性もあります。
底辺SES企業から脱出する方法とは
ここまでは底辺SES企業の特徴や、SESがなぜ底辺と呼ばれるのかについてご紹介してきました。
ではこうした底辺SES企業からどのように脱出すればいいのでしょうか?
ここでは具体的な脱出方法について2つご紹介していきます。
1.転職エージェントを利用して転職活動を進める
IT人材が不足している現代では、エンジニアに特化した転職エージェントも多数存在しています。
そのため、辛い底辺SESから脱出するためにまずは転職エージェントに相談して、自分の待遇がどれくらいUPするのかを確認してみることをおすすめします。
転職エージェントに相談するのは基本的には無料で、業界の動向や必要とされるスキルなども細かく親身になって教えてくれます。
一般的な転職エージェントの場合には、転職が決まった際に企業からエージェントに対して紹介料として金銭のやり取りは発生しますが、相談する転職者に対しては費用が発生しません。
またエンジニア専門の転職エージェントの場合には、元エンジニアの方も多く、今後のキャリアプランや習得すべきスキルに対しても親身にアドバイスをもらえる可能性が高いです。
底辺SESで我慢して働くよりも転職を考えた方が楽しく働ける可能性も高いので、まずは転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
2.退職代行サービスを利用してとりあえず退職する
転職よりも何よりも今の底辺SES企業から脱出したいと考えている場合には退職代行サービスを利用してとりあえず退職することも1つの手段です。
SES企業を退職する方法として多いのが以下の2つです。
- 精神的な病気になって働けなくなる場合
- 常駐先に出社しなくなりバックレてしまう
精神的な病気になってしまい働けなくなってしまったとしても、常駐先もSES企業も何も保証してくれません。
長い人生の中で精神的な病気になってしまってはこれからの人生を楽しむことも難しくなることが多いです。
そこまで追い込まれているのであれば、まずSES企業から離れることが大切です。
バックレるのも1つの手段ではありますが、やり方を間違えてしまうと損害賠償請求をされるリスクや給与が未払いになってしまうリスクも考えられます。
そうしたリスクを最小限にするために退職代行サービスを利用して退職することをおすすめします。
底辺SES企業のまとめ
今回は底辺SES企業について、SESが底辺と呼ばれる理由、底辺SES企業の特徴、底辺SES企業からの脱出方法について解説してきました。
業界構造的な問題や契約の問題などで、SESが底辺と呼ばれてしまうことがお分かりいただけたことと思います。
もちろん全てのSES企業が今回ご紹介したような底辺SES企業ではありませんが、こうした底辺SES企業が存在しているのも事実です。
SESに興味がある方はこのような企業には就職しないように、現在SESで働かれている方は自分の企業が今回ご紹介した特徴に当てはまっていないかを確認してみることをおすすめします。